看護学校へ行こう
学校生活スタート
 さて、肝心の看護学校の授業の方だが、最初はやはり自己紹介から始まった。席順はまだあいうえお順だ。授業初日、一人ずつ黒板の前に立って、自己紹介をさせられた。

 みんな個性はそれぞれで、自らあだ名を

「あだ名はいもたにです。」

と名乗る人もいた。このいもたにさん、自己紹介で私と同じ高校の出身だと知るが、一学年300人もいた高校なので、初対面だった。おもしろい人で、卓球がうまい。一時期私はいもたにさんに恋をしていた。私の目には彼女がとてもりりしく見え、憧れの人だった。私はそれ系の趣味は無いのだが、まあ宝塚のトップスターに憧れる女の子と同じ感覚だろう。よく用事をつくっては、いもたにさんの部屋へ遊びに行った。

 それからも自己紹介は順次無難に過ぎてゆく。ところが途中、きわめて目立つ奴がいた。髪はくりくりのふさふさ、格好はまるでライブに行くかのような服装だ。彼女は顔をしかめている教務達を前にして、堂々と自己紹介を始めた。

「わたしはぁ、白田と言いますぅ。ずっとバンド組んでましたぁ。ここ落ちたらぁ、バンドのメンバーになるつもりでしたぁ。」

などと遠慮無く言い、みんなをあっけにとらせた。昭和の末期のこの時代、高校でバンドを組んでいたなどイコール不良という印象だった。私はちょっと怖いと思った。しかしこの白田、実は中学生時代、全科目オール10の成績で、地元で一番レベルの高い高校に通っており、同級生には東大に入った者もいるという、頭の良い奴なのである。だが、どこでどう間違ったのか、白田の通う高校からだとぐんとレベルが落ちるこの看護学校に入学してきた。しかもこいつは怖いどころか、大変気遣いのある奴で、面白くてめっぽう明るい。白田とのだと言う奴が、同じ高校出身で、いつも二人でつるんでいた。のだは美人で頭が良いのに、やっぱりこの看護学校にどういうわけか、入学してきた。

 
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