看護学校へ行こう
女子寮と痴漢
 寮生活の方はすっかり慣れ、楽しくてたまらなかった。四六時中友達がいるのだ。この頃は遊びたい盛りである。夜中みんなで集まってはお菓子を食べ、おしゃべりして、毎日おなかがよじれるほど笑い転げていた。

 寮の日直は、夕方6時から9時15分までである。なんのことはない、電話番と、門限に鍵をしめるだけである。一~二年生が毎日一人ずつ交代で担当した。

 寮には公衆電話が2台あり、1台はかかってくるだけのもの、もう1台はこちらから書ける方である。昭和の末期、携帯電話など普及していない時代である。二~三年生は彼氏がいる人が多かったから、長電話している先輩がいた。これは正直迷惑な話で、いざ実家に用事があってもかけられない。なお、一年生が電話をかける場合は、大抵実家に金の無心であった。ところで日直だが、電話がかかってくると、全館放送で、

「○年生の△さん、お電話です。」

と呼び出す。このとき玄関にまわり、名札を見る。寮生は名札が玄関にかかっていて、寮内にいるときは黒字、外出時は赤字にしておくのだ。赤字の場合、名札に誰それから電話があったとメモに書いて、貼っておく。ちなみに全館放送で電話で呼び出されるのは、一種のステイタスだった。何故なら大抵「彼」からの電話だからだ。だからいつも放送がかかる人は、彼がいるのがわかる。一年生は、まだごくわずかしか彼氏がいなかったから、ほとんど放送はかからなかった。たまに全館放送で呼び出された場合、

「お、ちゅうにも彼氏ができたか?」

などとからかわれたが、なんのことはない、実家からである。
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