蜜事中の愛してるなんて信じない
男の美学ってアンタそれ言ってる時点でサムいわよ
「くっ……由香子……愛してる……」

 瞬間、私の心臓は、ぐわしとわし掴みにされ、私は猛烈な浮遊感に襲われる。

 正志は、切なそうに眉を寄せて、私の目を見つめる。
 熱くたぎった視線をスライドさせて私を抱きしめる。

 汗でしっとりとした背中に腕を回せば、暖房を消した室内の空気が正志の背中を冷やしていくのがわかる。

 あのねぇ。
 あんなの、キュンとするに決まってるじゃない。

 毎度毎度バカみたいに私は、ときめくわよ。

 だから。

「正志、もう一回」

 事後処理にせいをだす背中に声をかける。

 何よ、その顔は。
 そんなに目を見開いたら目玉が落ちますよ。

「珍しいね。まだ足りない?」

 足りないわよ。全然足りない。絶対的に。
 
 私は、緩んだ口元を見つめる。

「しょうがない子だね、由香子は」

 そうよ。しょうがないじゃない。

 顔が近づく。
 私の肌に馴染んだ大きな手が、内股を滑り上がる。




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