明日死ぬ
お店に到着して店内に入るとやっぱりアイは先に来ていた。

アイに手を振ってとりあえず飲み物を注文する為にカウンターへ向かう。

Mサイズのオレンジジュースだけを載せたトレイを持ってアイの待つ席へ。

「ごめーん。待ったー?」

声を掛けるとアイはそれまで読んでいた文庫本にしおりをはさんで閉じながら腕時計をチラッと見た。

「うん三十分ほど。でも遅刻じゃないけど『私達時間』より遅いなんて珍しいじゃない」

「ごめーん。ちょっと両親との感動の別れのシーンが長くなっちゃってさー」

「なによそれ。一体なんの映画の…」

笑いながら言っていたアイのセリフが途中で途切れた。

まじまじと私の顔に見入って一言。

「何かあったね?」

もうアイの表情に笑いの要素はカケラもなくなっていた。

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