【片想いの体温】

~柏田 敦(かしわだ あつし)の話~1

本庄がなぜこの高校を選んだのか、疑問だった。

彼女くらいのレベルなら、県立・私立共に最高レベルを狙えたはずだ。


そして同じ疑問。

渡良瀬はなぜこの高校を選んだのか。


テストの点数もだけど、勉強を教えていて分かった。

きっと、たまたま受かってしまったのかもしれない。
『偶然、昨日勉強したところが出た』とか言うレベル。

期末テスト対策は正直厳しい。

でも、本庄の手前もあって、引き下がれない。
僕も本気で毎日 《咲花》 に通っている。



そして、もうひとつの疑問。

なぜ本庄と渡良瀬が仲が良いのか。

本庄は中学生の頃から孤高のオーラがあって、誰をも寄せ付けないようなものがあった。

最初の頃、渡良瀬との付き合い方でも本庄に渡良瀬が頼り、甘え、子分のように
ついていってるように見えた。

・・・でも、本庄は変わっていった。


よく笑うようになった。 

中学の頃は笑顔なんて見せた事なかった。



クラスの女子に囲まれ、アイドル誌やファッション誌を広げたり、
授業中によく女子が手紙を回しているが、本庄もグループに入っているなんて。


・・・確かに本庄には孤高のオーラがある。


でも本当は、出来る女過ぎて、孤立させられてしまったのかもしれない。


僕には何も話さなかったけど、孤独で寂しかったのかもしれない・・・。
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