オフサイド



『ゴーーール!!!決まりました。鹿見高校3点目のゴールはFW内田くんの左足シュート。4連覇へ向け、決定的なシュートとなりました……』



テレビでは、全国高校サッカー選手権大会の決勝戦が放映中だ。



黄色のメガホンで埋め尽くされたスタンド。



シュートを決めた喜びが、テレビのブラウン管からストレートに届けられる。



あの中に、修くんや真吾くんもいるんだろうか……。


昨夜、久しぶりに修くんから電話があった。


『俺たち、明日の決勝戦を観に行くけど、菜摘ちゃんはどうする?』


『私はいいよ。テレビで観てるから。』


『そっか。じゃ、またね』


短いやり取りのあと、すぐさま電話は切られた。




――裕也との別れから2ヶ月


世の中は、師走に新年と、正月モードのめでたい雰囲気が漂っているけれど、私の心は冷たい風が吹き荒れていた。 


否が上にも、裕也のことを思い出すからだ。




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