Bizarre Witch~猟奇的な魔女~
小さなカップに少ないお湯。いつも濃い目に入れる。スプーンでかき混ぜ、カフェオレを一口、口に含む。


苦味の跡に微かな甘み。


コーヒーを飲んだ感想としては不適切かもしれないが、冷えた体に染みるって感じだ。


俺はリビングのコタツに入るのを止めて、和室に戻ることにした。






階段から玄関にかけての寒さも手に持ったカップのお陰で冷気も若干和らいで感じる。


階段を降りきってすぐの和室の戸を開く。室内はストーブの独特の匂いはするものの、まだ快適な室温というには程遠い。ストーブのデジタルの室温計は15度を表示している。


和室の中央に置かれた木製の大きなテーブルには昨夜勉強をした名残があった。開かれたままの数Ⅰの問題集に、ノート。散らばったケシカス。実は勉強するのは昨夜ぶりだった。


「こんなんじゃ……受かんねえよなぁ。……あと4日か」


半ば絶望的な状況に深く後悔のため息を吐く。


もっと真剣にやっていれば……。


しかし、直ぐに、悩んでも始まらないと、思考を切り替え、取り敢えず部屋の隅にある小さなブラウン管の電源を入れる。悪い癖だ。


一瞬の間を置いて、ぼんやりと少しずつ画面に色が入ってくる。


時刻は午後5時20分。


たまたま映ったチャンネルでは全国区のニュース番組が流れていた。ニュースではベテランの女性アナウンサーがはっきりとした声で、且つ神妙な面持ちで原稿を読み上げている。
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