ILLICIT LOVE〜恋するタイミング〜
「すみません、こんな愚痴まで聞いてもらっちゃって…。今、お茶入れてきますね」
そう言って彼女がキッチンへ向かった瞬間、
急に玄関のドアが開く音がして、「ただいまー」と言う男性の声が聞こえた。
「わ、パッパ…!」
すかさずアカリちゃんが玄関へと走る。
どうやら父親が帰ってきたようだ。
耳を澄ますと、かすかに家族の会話が聞こえてきた。
〈アカリー、2歳のお誕生日おめでとう。はい、これプレゼント〉
〈わー!あっと…!〉
〈急にどうしたのよ…?夜勤は?〉
〈ああ、そう言えば今日はアカリの誕生日だったなって思い出したから、急遽当番代わってもらったんだよ〉
〈えっ、大丈夫だったの…?〉
〈まあね…。それより、夕飯はもう食べたの?〉
〈うん…。そこのファミレスでふたりで誕生会してきたから…〉
夫婦の会話が終わらないうちに、アカリちゃんが綺麗に包装された包みを抱えてこちらへ戻って来た。