幻想美術館
幻想夜

1.

それは、夏の暑い夜のことだった。

満月は、ものうげな表情で夜空にぽっかり浮かんでいた。

居場所のないノラ猫達は、目をギラつかせて僕を睨んでいる。

いつもの散歩道で見なれているはずの光景なのに、不思議な違和感を覚えてしまう。

なぜだろう。

まるで、ここは異世界のようだ。
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