ラブストーリーを一緒に
ハルカ様の最新作を、わたしが見逃すはずがない―――


…て言うはずの最後は、うやむやに飲み込む。


「ははーん…」


ニヤニヤと笑われて、余計に恥ずかしくなった。


前だったら、ただ純粋に、どれだけ自分が『ハルカ様』のことが好きで、


どれだけ作品が素晴らしいかを熱弁することができたのに。


そんな年頃の娘の繊細な機微を、察してくれてないのか、わざとなのか…


「あんた、香月くん大好きっ子だものね」


「えっ…!」


うまく流せるほど大人でもなくて、悔しいことに顔を真っ赤にさせたまま詰まってしまった。


けれど、ますますからかわれるだろうな、というわたしの予測は外れた。


「あんたに喜んでもらって、香月くんも嬉しいんじゃないかしら」
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