49日
「そんなことないよ。もう十分飲んだって」


「え〜まだぜんぜん普通じゃん」


「いや、ほんとにもうムリだから」


麻里子がお酒を断ると、加奈子はフグのようにぷくっとほっぺたを膨らませた。


そんな状況を見兼ねたのか、向かいの席に座っていた犬飼猛が加奈子に声をかける。


「おいおい、渡瀬が困ってんだろ。大久保も飲みすぎだよ」


「う゛〜〜〜」


犬飼に注意され、加奈子はしょんぼりと席についた。


そんな加奈子の様子を見て「大久保は昔から変わらないな」と犬飼は笑った。


懐かしい彼の笑顔。


その笑顔を見るのも、実に7年ぶりのことである。

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