HAPPY DAYS
それからツヨシ君は
放課後になると部室に来て
ヒロシからギターを習った。



頭のいい子のようであっという間にコードを覚え



一月経つと音色までが違って来た。



「いい耳してるね」

私が感心して褒めると

「先生がいいからですよ」

と答える。

前から気になってはいたが
無理矢理標準語にしようとしてるけれど
イントネーションに関西圏の雰囲気がある。


でも何処か必死だから
みなそれについて彼には聞かなかった。


ギターは貯めておいたお年玉で買ったという。


ヒロシは私と一緒で教師志望だから
教える事が楽しそうに見える。
ツヨシ君の飲み込みのよさまでが
彼の誇りになってる。


「ツヨシ、本気でギタリストとかになっちゃうぜ。だとしたらオレが才能を見出だした名伯楽だ〜!」


「あの子は誰が教えてもうまくなっただろうよ」


タカナリがからかうと


「ツヨシのギターのスタートがここだったこと喜んでるだけだよ」


とご満悦だ。


そんな様子を見てウタが


「ツヨシ君、声もいいんだよね。歌わせてみたい」


と発案。


毎日のように来ていても、まだ緊張がほどけないツヨシ君に
歌わせる?
このメンバーで調整役を自負する私が
暴走をとめるしかない。





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