ジェンガたちの誤算
2月に入ったある日の放課後、ホームルームを終えて
いつものように教室を出ようとした私に、担任が声を掛けて来た。

「ちょっといいかな」

そのまま担任の後について職員室まで向かい、入り口で礼をした。
顔をあげると出て行く前島とすれ違い、目が合った。

奥に進むとタバコとコーヒーの臭いがして、右手で口元を覆った。

担任の席に着くと、彼は隣の席の椅子を自分と向かい合わせに置いて、
私に座るように手を向けた。
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