「私」にはなかった「モノ」【実話】

社会。

私は高校へは行かず、バイトを始めた。
行こうと思えば行ける高校もあったが、行こうとは思わなかった。

最初のバイトは精肉の二次整形。
朝が早すぎたのと、体力がない私に出来る仕事ではなかったので辞めた。

その後そのバイト先はその工場での仕事を辞めたらしい。

次は部品工場でバイトしてみた。
しばらく続いたが、貧血でよく倒れていたし、会社の雲行きも怪しかったので、親に相談して辞めた。

辞めた直後その会社は倒産した。


ちょうどその頃、父が入院した。

父は私が中学生の頃からその症状があった。

歩くのもまともにできない。

歩く時はまるで赤ん坊の歩き始めのようによたよたと歩くのだ。
それもどこかにつかまっていないとそれも出来ない。

「病院行きなよ…」

父をみる度に言っていた。
早く行かないとこのまま死んでしまうのではないかと思っていた。

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