風になったアナタへ
1997年・夏(リンとの別れまで残り約1年)

~リンと語った私達の未来~

私達はよく自分達の将来の話をした。

大学での彼女の専攻は服飾デザイン。私の専攻はマスコミにおける広告。私達の未来をリンクさせることは、とても簡単なことで口を開けば、言うことは決まっていた。

「私は大学を終えたら、ニューヨークへ行く。そして、デザイナーの修行をするの」

「ニューヨークかぁ。私は、とりあえず、日本へ帰って就職活動かな。やっぱり書くことが好きだし、せっかく広告の勉強をしているんだからコピーライターになりたい。でも無理だろうなぁ」

自分の将来を自信に満ちた声で話すリンに対し、自分が書いたCMが世の中に流れることは当時の私にとっては絵空事の話だった。
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