風になったアナタへ
1998年6月某日(リンとの別れまで残り約1ヶ月)

~リン親子と葉月親子で~

私の母が日本から来た。私が帰国する前に二人で一緒に旅をしようという計画。

もちろん、リン親子と私達親子で食事をする計画は真っ先に実行された。

私の誕生日を祝ってくれた場所で、私達は待ち合わせをした。先に着いた私と母は窓際に席を取りリン親子を待った。

「ねえ、初めに何て言えばいいんだっけ?」

と母は子供みたいに、はしゃぎながら私に尋ねた。

「ナイストゥミーチュー、って言って笑ってればいいから! あ、来た来たっ」

駐車場へ入ろうとするリン親子の車を発見した。リンは、白いサマーセーターを着て、助手席から身を乗り出し、私たちに手を振っている。

「ねえ、何て言うんだっけ?」

と再び母が少し不安げに言う。

「何、ビビってんのよぉ。相手も人間なんだから、平気平気っ」
< 43 / 81 >

この作品をシェア

pagetop