雪花
日常
 私は、人とうまくしゃべれない。

 相手の気持ちが分からない私は、いつだって人を傷つけてしまう。
 それに気付くのは、相手の顔を見てから。

 私がしゃべると、空気が固まる。そんな気がして、どんどん人としゃべらなくなっていった。


 そんな私には、この高校に入ってから数ヶ月たった今でも友達がいない。





「響さん。お願いがあるんだけど、いい?」

「なに?」

「掃除当番変わってくれないかな?今日、用事があって」

 クラスメートの女子が手をあわせて、頭を下げてきた。

 どうせ、下らない用事だろうと思ったけど、OKしてあげた。

「ほんと~!?ありがとう」

 明るい声に満面の笑顔。こういう子が可愛いっていうんだろうなぁ。裏で、何考えてるか分かんなくても。

 よくないなぁ、ひがみっぽくて。

「はぁ~…」

「ため息ついたら、幸せ逃げるで」

「相馬?」

 振り返ると、クラスメートの相馬が呆れ顔で立っていた。

「お前、アホやんなぁ。変わってやる必要ないんやで、あんなん」

「でも…」

「でも、やあらへんって」

 相馬は笑いながら、私の頭をぽんぽんと軽く叩いた。






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