潔癖
劣等感
萩田乃亜は、美しい母、優しくて高学歴な父
そんな両親から生まれてきた。
乃亜はきっと将来を期待されていた。
兄姉たちがそうだったから・・・。

萩田家は8人家族
父と母、そして5人の優秀な兄姉たち。
萩田といってその町に知らない人はいないくらいに金持ちで
優秀だった。
でも、乃亜は違った。
兄姉と全てが反対だった。
運動もダメ。勉強をさせてもダメ。
普通以下の子だった。だから無理して明るく振舞っていた。
父も母もそんな乃亜を蔑んだりはしなかった。
父は5人も跡継ぎ候補がいるのだからと言い乃亜のことは
諦められていた。
母は根っからの優しい人で乃亜が出来なくても、
「ゆっくりでいいの。乃亜は・・・」それが口癖だった。
乃亜にはそれが耐え難かった。
苦しかった。中学受験にも失敗し
市立の学校に入っても目立ったことなんか一つも出来なかった。
でも、乃亜には兄姉の出来ないことを一つだけ持っていた。

そして乃亜の人生を大きく変える事件が起こった。

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