一滴


桜がひらひら風に舞い、味気無い地面に色彩を彩る。






















ーーああ、やっと終わりか。



ある者達は頬を紅潮させながら涙の雫で後輩や仲間との惜別の別れを惜しむ卒業式。



だが俺は違う。「此の憎たらしい学校ともおさらばだ」と口元に緩く弧を描く。



すり寄って来る女共を適当にあしらい、綺麗にラッピングされた一輪の花を片手にぶらぶらと歩く。


そうして、唯一のお気に入りの場所へ向かい学校内へ足を進める



















ーカツ、カツ、…カツー



小気味良く階段が鳴り響くこの時全てを俺が支配している。ゲームの魔王の様に愚かな、またそれに少しと言えど便乗した己の心中を嘲笑った時もあった…と今更ながら思い返し独り、笑った。


そして錆び付き軋む扉を開く。


















ーーー途端、爽やかな風が身体を吹き抜けた





















花や卒業証書を無造作に置き地面に寝転び空を仰ぐ。


「…やっぱ此処が一番だ…」


そう呟いた瞬間、先程閉めた筈の扉がドカーン!と盛大に吹き飛び大きな物体が滑り込んで来た



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