猫と君
家族
すっかり暗くなった道を
並んで歩いた。
家もない。
家族もいない。
今、葵はどんな気持ちで
俺の隣にいるのだろう…。
俺には
わからなかった。
だって
そんな立場になった自分を
想像できなかった。
知りたくても
知りたくない。
自分の家に帰る道で
矛盾な気持ちに苦笑した。
「…」
お互い
何も話さなかった。
話す必要もなかった。
俺も葵も
なんだか落ち着いていて
過去のことも
未来のことも
何も考えずに
ただひたすら歩いた。