走り出せ、コスモス<前編>

藤石から見た沙枝



「じゃあ、今日はここで終わります。

さっき言った宿題、忘れないようにしてくださいねー」


俺は、この曜日のこの時間だけ、授業が終わるとすぐに教室から出る。


俺は、生徒に告白されてしまった。

しかもその子は、特別かわいくて特別かわいがってた子。

まさか俺をそういう風に見てたなんて、思いもしなかったよ。



入会の生徒ファイルが送られてきて、その写真を見たときから、かわいいと思ってた。

名前もかっこよかった。

しかも今までの模試の記録とかもやばくて

すぐに覚えた。

実際見たら、もっとかわいかった。


最初は少しぽっちゃりしてたけど、

目が大きくて肌がきれいでさらさらのロングへアー。

そんなこと気にならないくらいかわいかった。


そしたら突然やせだして…

心配したけど、そのかわいさの上昇に驚いた。

周りの男達も、多分みんな俺と同じように思ったはずだ。



決めたことは、究極に、できるところまで。

失敗したら、やけに、深く落ち込む。

感情の起伏が激しいけど、周りに気付かれまいと努力する。


いつも一生懸命で、なんだか楽しそうで。


俺もあんな頃があったっけな…。







< 102 / 128 >

この作品をシェア

pagetop