音色
「彩…どうしたの?何かあった?」
彩は順調に勉強を進めてきたはずだった。
どうしても行きたい大学があるから、毎日欠かさず勉強してきたし、それがいつしか楽しくさえ思えてきたと笑っていた。
それでも、彩が超えなければならない壁は、どうしようもなく高かった。
「…数学?彩、数学苦手だったっけ?」
というより、彩に苦手科目なんてあるのだろうか。
「司沙…私が数学のテストだけは誰にも見せないの、気づいてた?」
「そういえば…」
「数学だけは半分も点が取れないの、知ってた?」
「えっ…」