音色


「…待て。いくら何でも月島のレベルは無理だぞ」


ばれたか。


「だって他に頼れる大人がいないんだもん」

「公務員試験のお兄さんは?」

「あんまり話したことないもん…」

さすがに、大学受験レベルの勉強を教わろうと思うと、大人なら誰でもいいというわけにはいかない。

とはいえ、こんなことを頼めるほど、気の置けない大人の知り合いもいない。

私は半分、意地だった。


「何だ、司沙は数学苦手なのか?」

「私じゃないの。東京の大学目指してる、私の友達」

「余計無理!」

「だって覚えてるんでしょ?」



ちょっと申し訳なかったけれど、そうしてどうにか頼み込んで、一回だけ彩と会ってもらうことにした。


< 91 / 106 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop