意味するもの。その先にあるもの。





部屋の片隅。
壁にもたれ煙草を吸う裕。
チラチラと裕に向けられる視線。
睨み返す裕。
   
「そんなんや。余計、居場所無くすんやないんか?」

裕の横に腰を下ろす剛。
   
「俺の心配しててもええんか?」

不適な笑みをこぼす裕。
   
「何やねん。」
「あんたはあんなアホとちゃって俺が裏切らへんなんて思ってへんやろう?」

挑発的な態度をとる裕。
   

「どうやろうな?お前なんかの餓鬼に裏切られようが痛くも痒くもないねん。」


裕を睨みつける剛。
   
「その割にはさっきから俺の事監視してるやん。」

裕の胸倉を掴み壁へとおしつける剛。
裕の手から煙草が落ちる。
   
「調子のってるんやないで。アホなんはあいつやなくてお前の方や。これだけは言うとく。光一を裏切るようなマネしたら俺が許さへん。世界中敵にまわしても俺がお前を殺す。ええな?」

胸倉を掴む手に力が入る。
顔を歪ませる裕。
   

「…そ…それがお前の本音か。」
「ああ。そうや。」


睨み合う剛と裕。
   
「剛。何してんねん?」

光一の声。
裕の胸倉から手を離す。
裕の元から立ち上がり歩き出す剛。
   
「何もしてひんよ。あっ。一つ言い忘れたわ。目上の人への口の利き方なってひんで。もっと気をつけろや。」

その場を後にする剛。





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