意味するもの。その先にあるもの。
目覚め




時の止まったままの部屋。
無機質で生活感のない病室の一角で
生命維持装置に繋がれた光一の姿。
機械音だけが虚しく存在し
外部を全て遮断しているかのように。
   
「こいや。」

裕と信五を見るとドアを開ける剛。
   
「裕。」   

信五に肩を押されるように病室に足を踏み入れる裕。
痛々しい光一の姿からから思わず目を逸らす裕。
   
「目を逸らすなや。ちゃんと見てやってくれ。」

裕と信五を光一の傍へと促す剛。
恐る恐る光一に目を向ける。
穏やかに眠る光一。
   

「…こ…光一さん…。」


光一の手を握る裕。
   
「これが俺の現実や。」

濁った瞳で光一を見つめる剛。
肩を震わせ泣く裕の肩に手をのばす信五。
   

「逃げることの許されない俺の過ちや。」


裕の目を真っ直ぐ見つめる。
   
「そ…そんな自分を責めんといて下さい。光一さん言ってたじゃないですか?“お前のせいちゃう”って。光一さん言ってはったやないですか。剛さんのこと思ってそう言ったやないんですか?」

光一の言葉を代弁するように言葉を投げかける信五。
涙でぐしょぐしょに濡れた顔。
うまく言葉にならない。

   
「お前は光一そっくりやな。」


涙をぬぐう剛。
   
「そういうとこ。よう似とう。」

苦笑する剛。






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