意味するもの。その先にあるもの。




太陽の光。
オレンジ色に染まる病室。
窓の外を見つめる光一。
   
「なぁ。剛にお願いがあるねん。」

真剣な眼差しの光一。
   
「何やねん。」

光一の隣に腰をかける。
   
「剛も気づいてたんやろ?あいつの左目。もう見えひんのやな。」
「何や。お前も気づいてたんか。」

光一から目を逸らす剛。
   

「せやからな。お願いや。俺の目をあいつにやってほしいんや。」


一瞬 凍りつく空気。
   
「何 言うてるん?」

驚いた表情の剛。
   
「剛。」

まっすぐ剛の目を見つめ笑みをこぼす。
   
「最後のお願いや。自分の命が残り短いこと知ってんねん。自分のことは自分がようわかってる。それにな剛は昔から嘘つくの下手やったから。」

目を伏せる光一。
   
「…。」

涙をこらえる剛。
   
「そんな顔するなや。早いか遅いかの違いやろ?それにな。横山は世の中の汚いとこばかりみすぎとう。もっと綺麗なとこいっぱいあるんに。見せてやりたいねん。あいつに見せてやりたい。」

ペラペラとしゃべり続ける光一。
   

「…強がるなや…。」


聞こえるか聞こえないかの声。
   
「俺の前で強がるなや。死ぬのが怖くない人間が何処にいるんや。怖いんやろ?せやったら強がるなや。泣いてええねん。お前はいつもそうや。強がって意地張って…。」

大声をあげ泣き出す剛。
   
「…剛…。」

顔を伏せる光一。
   

「お前が泣くなや。…今の俺が出来る…ラストプレゼントやねん…。」


震えた声。
涙をこらえる光一。





< 62 / 78 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop