身長差15センチの関係 2
「……弓倉先生、ね」

私はつぶやく。

覚えている。
中学で理科を担当していた女の先生。

私が入学したと時に新卒で教壇に立っていたあの先生。

何度か受け持ちであたった。
ぶっきらぼうな話し方とそれに反して丁寧な授業。

たまにガラクタのような教材を教室に持ち込んで来たのと、

近くを通るときに微かにした煙草の匂いが記憶に残っている。

「……あの人が?」

最近の高志を見ていてよぎるひとつの予感。
が、あくまで夢想。

教師と生徒。
どうかなるものではない。

が、
弟のあんな顔を見ていて、何も感じぬ姉はこの世界にいない。


……と、思う。



──高志の姉2 終わり
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