,こだわり
私は口を半開きにしたまま固まっていた。

浩哉に何か言わなくてはならない気がしたが、言葉を発することはで出来なかった。

そして今度は彼の黒くて大きい瞳から目が離せなくなっていた。

リカコもまた浩哉に返すべき言葉を失っている様子だった。

急にリカコは立ち上がって言った。

「おやすみなさい。いい夜を」

まるでアニメの声優のような、飛び切り可愛い声だった。

リカコの言葉が勿論、彼女の本心ではないことはすぐに分かった。
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