，こだわり
この日、彼は夜の十一時過ぎに私に電話を掛けてきた。

病気になる前に引き受けてしまった仕事をどうにかやり終えて、明日からは少し楽になるから希菜に会いたいと言った。

楽になると私に会いたくなるのかと『へー』と思ったが、私も浩哉に会いたかったので、『私は何も変わらないけど、浩哉に会いたい』と言った。

そして十二時頃、彼は私のマンションにやって来た。



「そう言えば希菜は無職だって言ってたけど、こんな立派なマンションに住んで金はどうしてるの？」

さっきの話にはあまり興味がないのだろうか？

私が知的に障害はないこと等を言おうか、どうしようか迷っている間に、彼は話題を変えた。

話したいと感じたことをあまり訊いてもらえなかったので、私はがっかりしながら彼の質問に答えた。

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