月のうさぎに犯されて
「……うん」
悔しそうに有紀はぎゅっと手を閉じる。もう離さないという誓いの儀式にも似ていた。
健は笑う。ただ笑う。
「んじゃ、俺行くわ。もうすぐ授業だし。後でメールする」
「うん、わかった」
有紀はいつの間にか、笑顔になっていた。
私は変わる瞬間を見逃していたが、だいたい予想はついた。
「おう。あと、真奈美。お前ちゃんと授業受けとけよ、じゃないとマジで留年するぞ」
へぇ。私の事、見えてたんだ。
「私はVIP待遇だから大丈夫よ。健こそ留年して、私らと同じ学年になんないようにね」