愛して。


今度は体の力が一気に抜けて、拓真くんのスウェットが入った紙袋を落としてしまった。 


その音に気付いて二人が私の方を向く。 

どうしよう.....っ。 


加奈さんの目が大きく見開いたのが分かった。 


「.....あなた....もしかして....」


はぁ....見つかったか。と拓真くんのため息が聞こえた。 


逃げなきゃ!!!


これ以上拓真くんに迷惑かけたくない。 


落とした紙袋を拾ってエレベータに戻る。 


「え....!?麗花っ!!!?」 


拓真くんの声が聞こえる。 


私は急いで1階のボタンを押した。 


ドアが閉まってエレベータが動きだす。 


私ってタイミング悪すぎ......


溢れそうになる涙を必死にこらえた。 


1階に着いて自分のマンションへ向かって走る。


私の家はここから歩いて30分。 


凄く近い。 


こんなに一生懸命走るの久しぶり。 


とにかくここから少しでも、離れたかった。 












「.....かっ!!
れいか!!!」



後ろから声が聞こえる。 

大好きな声。 




< 84 / 208 >

この作品をシェア

pagetop