続・あなたの時計
ねぇ…るい婆、寒いの?

風邪気味なのだろうか、さっきから小刻みに震える老婆のきゃしゃな肩先が、気になって仕方がない。


そこの…白い袋を取ってくれんかね?


不意に老婆のか細い指先が、使い古した小さな棚を差した。


ガサガサ…。


おぉ、それじゃ。


はい…と、あれ?


なんじゃ?


るい婆に手渡した薬袋? だろうそれには、何も 記されていない、ただの白い袋のようだった。

…もしかして、サプリメントかな?

あ…いや、お年寄りらしく、飴玉だったりして。

二人の美羽が、ささやかな交信をしている。
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