人の死にまつわる話
父が清められている間、私たちは待合室に詰めることになった。
人が亡くなった瞬間から、遺族は来るべき通夜や告別式に向けてのマラソンのような日々を送らなくてはならない。

まず決めなくてはいけないのは
・父をどこに搬送するか
・葬儀業者をどこにするか
・亡くなったことを誰に連絡したらよいか
だった。

まずは業者を選定することにした。
業者は本家の隣に斎場があり、祖父母もそこで式を執り行ってもらっていたのでそこにお願いすることにした。
さっそく叔父が業者に電話し、業者の車によって父は搬送されることになった。

父の遺体は斎場ではなく自宅に戻ることになった。
父が長期のローンを支払いながら維持してきた我が家。
そこで永久の眠りのひとときをすごさせてあげたいというのが私たちの願いだったからだ。
ちょうど入院する前に使っていたベッドを2階から1階に下ろしていたので、そこに安置することにした。

その間に私は娘を駅まで迎えに行った。
娘は結局おじいちゃんを看取ることができなかった。
それが唯一の悔いだった。


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