あかねいろ
―――――――――

夕陽が着替えて教室に帰るとすぐに、

『夕陽ちゃーん♪』

周りの雑音を通り抜ける涼しげな声。


『咲さん♪』

『カワイー♪チャイナ正解だね?それ夕陽ちゃんに超似合ってるよ♪』

「ありがとうございます///」と夕陽は小さく言って赤くなる。


『ねぇ?ところでバカは?』

『あーバカは、どこかの可愛い女の子とその辺に置いてきました。』

と冷ややかに答える夕陽。

『あのバカ。学校でもそんななの?』

『違う、かな?なんか「先輩」って言ってたから中学生じゃないかな?』

『へぇー』

何を思ったのか咲は言った。

『おまたせー』

それと同時に大斗が帰ってきた。

菜穂も後から続いて入って来る。


『おぉ咲』

大斗は軽く挨拶。

『あ…』

菜穂は咲に気付くと小さく声を上げた。

『誰?』

咲は冷たく大斗に聞く。

『こーはい』

大斗はサラリと答える。

『こんにちは。』

菜穂は咲に軽く挨拶して、

『さっきはどうも』

と隣にいた夕陽にも挨拶をした。


さっきはまるで無視したくせに…まぁ嫌味を言わないだけマシね…?


夕陽はそんなことを思いながら軽く会釈。

『先輩。あたし来年この学校受けようと思って見に来たんです。受かったらよろしくお願いします』

とペコリお辞儀をして「じゃぁまた」と出ていった。


菜穂が見えなくなると、咲は大斗を睨み付けて、

『早く飲み物だしな』

と蹴りつけた。

大斗はブツブツ言いながらカウンターに入って行く。


『咲さん?』

夕陽は咲の様子が少し心配になり声をかけた。

「あたし…―」咲は、ふぅ~っと大きくため息を吐き何か言いかけるが…

『久しぶりー』

入り口から声がして、それは遮られてしまった。


『たくちゃーん♪』

そこら中の生徒が声をあげる。

中に拓巳が入ってきた。


『拓ちゃん?!』

夕陽も振り向く。


更に拓巳に少し遅れてもう1人入って来たのは…

『結衣さんっ?!』

夕陽は2人に駆け寄った。






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