あかねいろ


なんの為にやるんだろ…


自分を正当化する為に、彼氏でない人とはやらない。

必ず彼氏になった人とする。

だけど付き合っても結局…


好きでもない人とsexして、付き合ってない人とするのとどう違うのかなぁ…?


あたし…。
そんなんじゃダメなこと、知ってるのに…


口約束だけの彼氏じゃない?


夕陽は…、本当は虚しいとわかっていたけれど、独りで居るよりましだった。


強くなって、恋がしたい…。


――――――


一眠りしてホテルを出ると、もうすっかり夜。

夜風はまだ冷たくて、胸の中をひんやりと通り抜けていく…


『飯食ってく?』

『うん』 


素っ気ない会話。

なんてラブラブ感のない2人だろう…?


とりあえず、お店を探す為に歩く。


すると、向かい側から女の人が走ってきた


ドンッ!!――


その人は夕陽にぶつかってヴィトンのバックを落として転んでしまった。


夕陽は反対側にしりもち…


あたたたた…


『きゃぁっ!!ごめんなさいっ!!大丈夫??あたし急いでて、ぶつかっちゃった…怪我無い?』

素早く立ち上がった女の人は夕陽に手を伸ばして立たせてくれる。


恥ずかしい…


『あ、あたしは平気です』


すごい格好悪く転んじゃった…。


恥ずかしくて下を向きながら立ち上がった。


『良かった。それじゃ行くね。本当にごめんなさい』


そして、また小走りで去っていった…


あっ…!!


『ちょっと待ってください!!』


夕陽が衝動的に叫ぶと、彼女は足を止めて振り返る。

夕陽は足元に落ちていたキーホルダーを拾うと、少し前にいる女の人の所に走っていった。


『これ、落し物です』

サングラスの彼女は「あっ」と声を出して


『ありがとう、これ大切なものなの。無いの気付いたらすごいショックになってたよ』


キラキラの石で出来ている掌サイズのキーホルダー。


2つの輝くオープンハートを結ぶ真ん中の小さな輪、その中に指輪が揺れていた。


指輪の石は何だろう?



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