あかねいろ

そう言って恭次は教室を出ていった。

『なんで?』

きょとんと恭次の背中を見送る夕陽は呟いた。

『なんかね、羨ましい事に、チョコレートの嵐なんだってバレンタインは…』

と雅が教えてくれた。


あぁ…そういう事…

全く…モテモテ君は…


『あ!!戸塚君、コレ。いつも仲良くしてくれてありがとう♪って事で♪』

夕陽は雅にチョコレートを渡す。

少しうつ向きながら恥ずかしそうに受けとる雅には気付いてない様子の夕陽。

『じぁまたねぇ♪』


そうして、彼女は自分の教室に帰って行った。

すると…


自分の席というか自分の鞄を漁っている人が居るではないか…

『ちょっと。あんた、何のつもりよ?』

『何って、お前…今日何の日だと思ってんだよ?』

『あのねぇ…』

『お!!弁当発見!!でも今日はこれじゃねぇ』

『ちょっと。大斗…?』

『チョコレートくれ。』

『何のつもりよ?なんでそんな当たり前に言うの?』

『バカか?』


バカかって…

大斗がバカじゃないのよっ!!


『ちょっ…『神崎君?』

夕陽が返そうとすると、誰かが大斗を呼ぶ声。

教室のドアには女の子。

『ヤベッ!!後で屋上に持ってこい!!弁当だけもらってくから!!俺逃げる!!』

『ひろ…っ』


そうして、大斗はあっという間に出て行ってしまった。


はぁぁ…


こっちのお調子者も

バレンタインはモテモテ…ね…

しかも…後で持って来いって言われても…

持っていっちゃったじゃない…


もう一度ため息をつくと夕陽は席に座った。


―――――――


『ねぇ、神崎君?』


はあぁ。

しまった…捕まった…


癖で笑顔を作り声の方へ振り向く。

『いきなり、ごめんね』


本当だよ。

ってか…アンタ誰?


『これ、貰ってくれる?』


やです…


『あー…』


もうこれ以上いらねぇし…


『神崎君って、片桐さんと付き合ってるの?』



はぁ?!!

何をいきなり聞くんだ?この非常識女…





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