あかねいろ

ドキッ。


しまった…っ
女の人にトキメイてしまった。


可愛らしい仕草。


超痛がる大斗をよそに咲に釘付けの夕陽だった。


綺麗と可愛いを掛け合わせた人、そして意外な面を持つ…。


目の前には「麻生咲」という人が居る。



あの赤い車の…


『ふふっ、夕陽ちゃんでしょー?大斗からきいてるよー♪』



咲は夕陽に笑いかけ、ゆっくりと大斗の隣に座った。


あたしのことをどう聞いているんだろう…


『おねぃさーん。苺パフェ2つね♪後、コーヒー3つぅ〜』

咲は今度は離れてるウェイトレスに叫ぶ。


忙しい人…。


大斗の存在は軽く無視なのだろうか?

咲は煙草に火を点け一息つくと、鞄から違う煙草を一つ取り出した。


そして、当たり前の事のように大斗に渡す。


『おみやげ』


大斗はチラッとそれを見るだけ。

それだけで、何も言わなかったけど、これが2人の自然のスタイルだと感じた。


無視じゃない、2人でいることが当たり前すぎるんだ。


2人が並ぶと不思議な空気ができる。


なんだか煙草の受け渡しだけで、感じてしまう。



入り込めない凄い存在感みたいな、謎だらけだけど…

2人の間にはただならぬ深い関係があると感じられる。


付き合ってるとかではないんだよね?


『今、何時までいられんの?』


大斗が咲に聞く。

短い台詞


『うーん、連絡待ち』

「そか」と短く返事して、咲が渡した煙草を開けて火を点ける。


大斗と咲の二筋の煙草の煙が天井に昇って交ざり合う…。


パフェが届くと、咲は1つを夕陽に渡す。


『夕陽ちゃんに苺パフェ似合うから。あげる!!好き?』


にっこりと言う。


万が一嫌いでも、その笑顔なら「好きです」って言っちゃうよ。


『は、はいっ』

ドキマギしながら大斗のように短く答えた。


夕陽はそれしか出来なかった。


< 33 / 469 >

この作品をシェア

pagetop