あかねいろ

――――――――


カランカラン


『ゆーひちゃん!』

扉を開けるとマスターの笑顔があった。

『しげさん♪何か久びっ…わぁぁぁっ!!』

『もうっ夕陽ちゃんはいつ見てもっかぁわいーなぁ♪』

マスターはいきなり夕陽をぎゅぅーっと抱き締める。

『―ッじじい!!セクハラ止めろっ!!死ねバーカ!!』

すかさず大斗が突っ込むがまるでシカトされる。

『し、しげさん…///』

いつに無くテンションが高いマスターに夕陽は少し戸惑い気味。

『だって、実は2ヶ月は会ってないじゃないか?ずっと夕陽ちゃんに会いたかったんだよ。』

頭をヨシヨシしてから身体を離すと


『元気だったかい?』

とにっこり。

いつもみたいな落ち着いた、そして優しい声で。


『う、うん。イギリスのお土産持ってきたよ…』


なんだか無意味に赤くなって答えちゃった。

久々に見たマスターの笑顔だったんだもん


『おいブス!何で赤いんだよ?!』

大斗が夕陽のほっぺたをひっぱりながら少し不機嫌な顔で言う。

『はにふんほほ!!』

『大斗はヤキモチ焼きだなぁ♪夕陽ちゃんはみんなの夕陽ちゃんだぞ?わははー♪お土産ありがとう♪』

マスターは横からふざけて大斗に言った。

『死ね!!くそじじぃ!!意味わかんねぇしっ!!』

大斗はそう言うとフィッと居なくなってしまった。



『今日僕は、大斗に「死ね」しか言われてないなぁ』

「参った参った♪」となぜか楽しそうにマスターは呟く。


夕陽はその言葉を受けながら、少し離れた場所で大斗が女の人に呼び止められて話している姿を眺めていた。


全く大斗は…本当に相変わらずなんだから…

相変わらず愛想笑い振り撒いて…


って…そういえば…、

アイツってあたしには営業スマイルみたいな嘘くさい顔したことないよなぁ…?

あんな顔して笑われたことないかも…?

なんてゆーか、皮肉な笑いばかりが思い出されるぜ悪魔め!!

って万一営業スマイルされても困るけど…




咲さん…

大斗のバカは今日も元気にバカみたいですよ…

参ったね。


参った…?



< 373 / 469 >

この作品をシェア

pagetop