あかねいろ

名前

―――――
――――――――



『片桐さんって、何て呼んだら良い?』

学校に行った夕陽にクラスメイトの男の子が聞いてきた。

『俺も雅みたいに名前で呼んで良い?』

『あ、うん♪ひぃちゃんでも夕陽ちゃんでも好きなほうで♪』


ただ…何気無く言った言葉だった…


『夕陽は?呼び捨てしてもいい?』


よ…呼び捨て…?


「夕陽」と呼び捨てするのは…拓ちゃんだけだったなぁ…

拓ちゃんだって、なんか懐かし♪

去年の今頃はそれはもう拓ちゃんが忘れられなくて、バカばっかしていたなぁ…

拓ちゃん…

あのドキドキは…♪


夕陽は少しトリップしながら思う。


って…あれ??

あれれ??

あ゙ーっ!?


『あれ??ダメ!あっゴメン。ちょっと出かけてくる』

「呼び捨て駄目なの?」と呟くクラスメイトを置いて夕陽は教室を出ていった。


―――――――


ダッシュで1組にやってきた。

『エロザル!!』

と息を切らせて叫ぶ。

『なんだよ?』

すぐに気付いた大斗が不機嫌にやって来た。

『お前よぉ…俺サマを何て底レベルな呼び方しやがるんだバカヤロウ!!髪伸びたってば!そろそろ止めろよ』

『そう呼ばれてココに来たのは大斗だしね?じゃぁバカザル?』

なぜか妙に真顔で言う夕陽。

『あのなぁ?』

『あんたさ、あたしのこと何て呼んでる?』

と続ける。

『はぁ?バカ?!』

何を突然という様子の大斗。間違いなく夕陽の質問は突拍子もなかった。

『バカじゃないわよ?』

『じゃぁちんちくりん?』

『あのね?』

『アホ。ブス。デブ。』

『真面目に聞いてるのよ!!』


真面目に聞くには変な質問だな?


といまいち状況が掴めない大斗は

『お前は夕陽だろ?どうしたんだよ?』

「わけわからないよ」と少々困惑気味に言った。


『そうよ。そようよね?夕陽だよ、夕陽。』

何やら納得している彼女だった。


< 380 / 469 >

この作品をシェア

pagetop