あかねいろ



『あはっマヌケな顔。深い意味はないけどね。チャリ取りに来ただけだし、バイバイ』

彼はバカにしたように言って、笑いながら閉まってる門に向かって行った。


なにアレ…感じ悪い。

気分悪い。朝から変なヤツに会っちゃった、もぅっ早く帰ろうっ


駅に着き、定期を出そうと鞄を探す。


ん?ちょっーと…うそ。

財布無い…


駅出た時は定期を出して、使ったんだから、走ってる間落としたってことだよね?

今来る時気付かなかった…


急いで来た道を戻る彼女。


あれは大事なお財布なのに…


通りの隅々を探すが見付からない…


ヤダ。焦って涙でそう、学校なんて来なきゃよかった


スィー

すると彼女の横を自転車が通りすぎ、少し先でブレーキのかかる音がすると


『かたぎりゆうひサン?』


急に自分の名前が呼ばれた。


えっ?あたし?


顔をあげると、さっきの男の子が笑いを堪えながら立っている。


『えっ?何?』

『これ、落としたでしょ?』

彼の手には彼女のお財布と生徒証

『ごめんね、中見ちゃった』

『よかったぁ…あ、ありがとう…』

思わず半泣きになってしまう。

彼女が手を伸ばすと笑い止んだ彼は


『120円使っちゃった♪俺万券しかなくってさぁ。コーラ買っちゃった。ゴメンネ♪』

と明るく言って彼女の手に財布を置いた。



こいつ…

そりゃ今の時代、120円減っただけで財布が戻ってくるのは奇跡に近いわよ?!


あたしだって正直お財布拾ったら自分の物にするかもしれないけど…


けど…
ムカツク…


『…』

彼女は何を言っていいかわからず、その少しも悪びれない顔をしている彼を嫌気たっぷりに見た。

涙もすぐにひいた。


『かたぎりゆうひチャン、お詫びに飯おごるよ、後ろ乗って』


この男はどうしてこんなに、初対面に向かってアッケラカンと言えるのだろうか?


チャラい…
軽すぎっ…


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