あかねいろ
言葉…苦手。

いくら、愛想笑いしたって、本当は話すの得意じゃない。


今まで自分がどんだけ感情に欠けていたのか思い知らされる。

“その場が良ければ後はなるように”

本当はそんな事ない。


自分が嫌な思いしたくないだけ。

自分の気持ちなんて見なかった。


受け売りの言葉を並べて、上手くやってきていただけ。

気持ちなんて表せない。

本当は別にちっとも上手くない。


『…きっと、また泣かす…』

『湿気た顔してんなぁイケメン!!泣かしたのそんなにショックかよ?!』


そりゃ…そうだ・・・


『うん…』


いつも、泣かしたいわけじゃないのに…


『…夕陽は好きなヤツを想って泣いてた顔で、俺には泣かない…』


『バカだなぁ大斗は』

『はぁ・・・?』


『それは、お前が泣かしたんだろ?大斗に泣いてくれたって事なのに、何を贅沢言ってんだ?』

『はぁ…?何だソレ?』


『どんな事があってかは知らないが、お前だけに向けられた泣き顔だろ?』


『・・・』


『それに彼女にとって、全ての涙が"悲しませた涙"だったかい?』



全て…「悲しませた涙」?

…違う


"あ゙りがどぉぉぉ…グスッ。。。"


色んな時に…


今まで、あいつは…

色んな涙を流していた…

辛い涙のほうがきっと多かったけど…



手紙を読みながら…

俺の為に泣いてくれた。

すげー嬉しかったんだ。


そんな夕陽を

とても…

その気持ちを何て言ったらいいかがわからなくて…


可愛いと思っていたんだ


おっさんの言うみたいに、夕陽の泣き顔…

可愛いかった。


「いとしい」なんて…

そんなことは…



あぁ…こんな想いはしたことないんだ…。

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