あかねいろ


あたしもそう思える様な恋がしたい…。

しっかし、杏に言われたみたく、みんなは色々思うのかな?

それは嫌だなぁ…


『神崎君、いろんな意味で目立つしね』

何となく言うと

『でも、神崎だけじゃなくて、ひーも目立ってるよ充分』

と返される。


えっ?


『ひーちゃんだいぶ可愛いのよ、知ってた?あと遅刻常習犯だし、抜けてるとこも結構高ポイント♪』

なんて言いながら杏は自分の席に帰って行く。


はい?!
もぅあんちゃんったら!?


片桐夕陽という女の子は可愛い顔している。


それなのに大斗と接する事で、つい可愛い子振るのを忘れてむしろ素に近く、結構行動が面白い。

だからクラスのみんなは逆に接しやすく、何だかんだ上手く馴染めていた。

可愛いからとか大斗と仲良いからとかで夕陽に悪態つくクラスメートはいないようだ。


『ちょっと、あんちゃん!!どういう意味よ?』

杏の席に追いかけて聞く。

『ひぃは気付いてないかもしれないけど、神崎君だけじゃなくて、ひぃたんも結構人気あるんだよ。先輩とか噂してるんだから』

と満面の笑みで言われた。

杏の男情報は外れがないのを良く知ってる。

杏の席で固まっていると…



『片桐さんいる?』

夕陽の名前が呼ばれた。


え…?


―――――


その頃、大斗は弁当を持って屋上に向かっていた。

扉を開けると同時に暗い踊り場に射し込む光―


快晴だ。あっちぃ…

昨日も仕事でほとんど寝てねー…。

だる…


夜から何も食べてない大斗は早速弁当を広げる―



『ひろっとくーん♪』


はぁぁーっ。
ったく、コイツは朝から無駄にテンション高けぇ…。


『きょうちゃん、僕クタクタなの…』

恭次は勢い良く扉を開けて来ると大斗の隣に座る。

『朝からいきなり早弁?どしたのそれ?信者の貢ぎモン?』

弁当を見て興味津々聞いてくる。

『片桐さんに作らせた』


大斗は、ぼーっとしながら答える。


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