あかねいろ


太陽の光を浴びる―


不意に気付くと隣で大斗の寝息が聞こえた。


光を受ける彼…

あーぁ、やっぱり顔は綺麗。


スヤスヤ寝ちゃって…


ねぇ?
あなたにはどんな過去があるの?


『さてと』


夕陽は大斗の開いた鞄から見える雑誌を抜く。


「全く…」笑える。
次はグラビア写真集ね…

これも恭次君のかしら?!

まぁ「劇裏!!」より好派か…?


それを大斗の顔に被せて日除けにしてあげて、屋上を後にした。


―――
―――――


その後大斗が何を言ったか、もしくは何をしたかは不明だが先輩は夕陽に何も言ってこなかった。


何をしたかなんて知りたくない…けどね、あはは…



自分が優位に居たい大斗は「興味ない」と言ってたわりに学校では爽やかな男の子を演じている。


「いざって時都合が良い」らしい。


どんな時よ?!全く。

こうやって、みんな愛想笑顔に騙されるんだわ。


爽やかにみんなと話している大斗を怪訝な顔で、じーと見つめる夕陽。

それに気付いた大斗は、にこにこしながら近づいてきて…


バァサァ―!!


『うわぁぁぁあっ?!!』


夕陽のスカートをめくって逃げていく。


子どもみたいに、いたずら顔で可愛く←と周りは見えるらしい…笑って逃げていく。


ちょっと?!スカートめくりって今の時代…


大斗はいつも自由だ。

機嫌の悪さがMAXの夕陽を他所に


『だって何しても許せるじゃん♪』

『面白いしねー♪』


杏や南深は至って普通に答える。


大斗と夕陽のやりとりはクラスのみんなももう慣れっこで、2人が仲悪いのか良いのか絡む姿はみんなの楽しみのひとつにもなっていた。



大斗が学校外で遊んでることや、朝までバイトしてることはみんな知らない。


中学で暴れてたって噂も今のところ聞かない。


相変わらず告白は全く受けなかった。


夕陽は特定の人を作らないなんて、そろそろ周りが怒るだろうと思ったが、彼は益々人気者になっていくのだった。


よくわからない所がいいらしい。



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