あかねいろ

ファミレス



『片桐さん、ファミレスでいい?どこでもいいけど、すぐ食いてんだ』


彼女の返事なんて聞かないうちに、あっと言う間にファミレスの駐輪所。

早々彼は制服を脱ぎ出す。


おぃおぃ…こういうとこが今時よね…


下に着ていたスウェット姿になった彼は、彼女の思いなんて構わず階段を上がっていく。

夕陽は急いで追いかける。


―――――


『こういう、ことだったのね…』

あきれた顔で呟く彼女に「何が?」と言う様子で煙草に火を点ける大斗。


ファミレスの喫煙席、制服を着ていない彼は高校1年生には見えない。


成人してる様に見えるかはさすがに微妙…


『なんか、妙に煙草姿が落ち着いてるね』


嫌味っぽく言ってみた。


大斗は若者が調子付いて煙草吸ってますって感じはしない。


若いのは事実なんだから調子付いてるか…


『片桐さんは決まった?』

夕陽の話を少しも拾うことなく、大斗は自分のメニューを開かず言った。


なんだか勝手なヤツ


慌ててページをめくったが、そうこうしてる内に、いつのまにかウェイトレスを呼んでいた彼は結局メニューを見ずに何だか色々注文している。

急いで夕陽も目についた物を適当に注文する。


目の前にいる初対面の男は、慌てる彼女を見て苦笑。


ちょっと!!
なんて勝手で失礼なヤツ!!


『勝手なヤツかな?俺』

ウェイトレスが行ってしまうと彼は言う。


えっ?ヤバッ!さっきの声に出てた?


益々慌てる彼女、


『あ…イヤ、、、そうじゃなくて…』


シドロモドロに言い訳を考えている夕陽に、大斗は笑いをこらえながら


『本当にそう思ってたんだ?ヒデェッ』


「もう我慢できない」と吹き出した。


夕陽の行動は大斗には全て可笑しくてしょうがない様子。


『ゴメン、ゴメン。ってさっきから片桐さん、全然言葉少ないのに、全身から言葉がでてるっていうか、思ってること筒抜けだよ。あんた嘘とか付けないでしょ?』



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