あかねいろ


夕陽は気付いてないが、彼は今まで見た事のない顔で先輩達を睨み付ける。

『直樹?!こいつ生意気な1年じゃね?』

連れの2人が大斗に気付く。


『そうそう。俺の彼女と久しくするわ体育祭で好き放題するわ。参ったやつよ』

嫌な感じに立川先輩は言う。

『夕陽ちゃん、こんなのといて危ないことなかった?こっちおいで。夕陽ちゃんはすぐヤラせてくれるって誠也が言ってたんだ、だから昨日のあんなのも好きかなって思ってさゴメンね』


誠也…元彼だ…


立川先輩は座ったままの夕陽を無理やり立たせて服に手をかける。

ボタンがはずされる。

夕陽は何もできずに固まったままだ。

その時…!!

缶コーヒーと立川先輩が吹っ飛んだ。


!!!!

何…??!!


涙と雨で、あまり見えない視界を広げるように目を擦る夕陽。

そこには大斗が立川先輩を思いっきり殴り飛ばしているのが目に入った。

周りは大斗に飛びかかる。


大斗の顔が違う…
普段のヒョウヒョウした感じは消えていた。




誰…あれ…?神崎君?


夕陽はひどい格好のまま立ちすくす。

やがて、騒ぎを聞いた誰かが警察を呼び、駆けつけた警官に押さえられてやっと静まった。

強い風が吹き付ける…

ずぶ濡れの夕陽に大斗は自分のシャツをかける。

Tシャツになった彼は何も言わない。

3対1の割りに怪我は少ないようだが。


あたしは何を見たの…?


全員が警察に連れていかれた。大騒ぎだった。


――――――


『こいつの格好見れば分かるだろう?!』

警察に連れてこられて何やら色々言われる。

大斗の怒鳴り声が聞こえる。

夕陽は何も言えない。


『あら、神崎君?久しぶりじゃない?』

そこへ女警察が大斗に話しかけてきた。冷たくて冷酷なしゃべり方。

『更正したと思ったらやっぱり駄目じゃないの?』

不敵な笑みで彼女は言う。それを睨み付ける大斗。

夕陽にしたら、それが大斗だなんてわからないくらいのいつもと様子が違う。

2人を見てる内に夕陽は段々と冷静になってきた。


朝からの上の空からやっと目覚めたのだ。


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