あかねいろ


何か変なしゃべり方になったからバレたかな?


マスターは「そりゃ良かった」と笑っていた。


そこへ大斗が戻ってくるが、女の人は離れた場所から

『今日はこの後、遊べるのぉ?』

と大斗に問いかける。

『今日は苺を配達するから、明日ね』

とにっこり営業スマイルで返していた。


こんな遅い時間に、どこに苺を届けるのかな?


夕陽はそんな事を思っていた。

それから立ち替わり入れ替わり大斗は女の人に呼ばれていた。


やっぱり外国人だ。大斗はあんな感じだ。あたしも考えるのは止めよう。


大斗が女の人達と話すのを見ても、特にヤキモチのような事は思わない夕陽、ダーツにはまって結局閉店まで居てしまった。

すると、

『送ってく』

と大斗に言われ、彼は裏からバイクを持ってきた。

『苺…っ苺ってアタシ?!』

考えてみたら真夏に苺なんてない。


明け方5時、小鳥の鳴き声と蒼白く霞む空。

悪戯顔でピースする大斗の後ろ、無言でバイクに乗った。


ホッとするけど、ドキドキしない。恋とは違う変な気持ち。


『いつでもスイートブルーに遊びに来なよ。暇でしょ?』

彼はそう言って悪戯っぽく笑って帰って行った。


「暇でしょ?」って…そうだけどっひどいっ!

自分が女の人と居る所を躊躇わずに見せる大斗も、アタシの事を何とも思ってないな。

友達もなかなか面白い…かも…?

気にしない…気にしない…



夕陽は見送る背中を見ながらそう思った。


立川先輩にはメールで一言「別れてください」と告げた。


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