あかねいろ
――――
――――――

地元の神社でのお祭りは結構大規模だった。

暖かい空気とちんどん屋の音が混ざって、お祭り特有の世界ができあがっている。

人のざわめきにもテンションが上がる。


南深はハシャいでヨーヨー釣りをしている。


空元気…??


『あれぇ?南深ちゃん?』

南深の名前を呼ばれて振り返ると、同じ歳くらいの女の子が話しかけてきた。

『恭次君は今年は一緒じゃないのぉ?恭次君、最近ご無沙汰でさぁ遊んでくれないんだもん。また新しい彼女でもできたかなぁ?』

わざとらしく嫌な感じに問いかける。


なんだこの子?南深に何を聞きたい?頭くる。


夕陽の不機嫌な表情に気付いた南深は、すかさず


『知らないよ~♪恭次とあたしは関係ないよ。多分来てると思うから探してみなよ♪?』

にっこり笑って明るく答えている。

『ひぃちゃん、行こっか?』

南深は夕陽の手を引いて歩き出す。

どんどんどんどん人並みを掻き分けて、お祭りのざわめきを掻き分けて歩いていく。


『みっみなみぃ…?!』

神社のすみっこでやっと止まって大きくため息をついた。

夕陽は怒りがまだ収まらない。


『ごめん…』

南深は泣きそうな顔をしている。

夕陽は彼女をもう見てもいられなかった。


あたし胸が痛いよ…


『南深!!帰ろう。そうだな?こういう時は、あぁそうよ!!あれだわ?!』


こんな所で話すのは嫌。いつも明るい南深が、このざわめきに消えてしまいそう…そんなの嫌っ。


今度は夕陽が南深の手を引いて歩き出す。

『ひぃちゃん?どこいくの?!』

なんだか、夕陽は何も言えない。

何を言ったらいいかわからなかった。

ただ南深の手をしっかり握って歩いて行くだけ。


次第にお祭りの音が遠ざかっていった…


――――――――――


『ここ…?』

浴衣ではかなり不釣り合いな場所。お洒落な看板がチカチカ光っていた。


夕陽は南深の手を引いたまま階段を降りていく。


しまった。何で?!気付いたらここに来ちやった…。


『あれ?片桐さん?!』
< 90 / 469 >

この作品をシェア

pagetop