魔王さま100分の1

なるほど、勇者というのは良くできている。

さっきどこでもぶん殴る宣言をしたのに、相手の死を予感させる攻撃にはブレーキがかかる。

魔族が相手の時は、殺意をおさえて生かす努力が必要だったけど、人間相手だと全く逆。

殺す気でいかないと話にならないと分かっているのに、ここまで追い込まれても殺意が湧かない。

王国の勇者達も、たった20人程度の戦力だと測られるわけだ。

(この程度の人達でたった20人……)

で、その程度の人達に殺されつつある自分。

(これは呪いだな)

ようやく分かったか、と頭の中で哀れんでくれる魔王さま。

シルキスは、塔を見た。

扉を打ち壊そうとハンマーと大斧を振り上げている兵士達が目に入る。

ゴッ。

目の前にいた兵士の胸当てが、シルキスの素手の形でへこむ。
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