だって好きなんだもん!(Melty Kiss バレンタインver.)
3.パパ、お帰りなさい
……と。

昨年末、清水の前で啖呵を切ってみたものの。
一体どこに素敵な男性っていうのは転がっているものなのかしら?

わたしは見当もつかないので、とりあえず組の中を歩き回ってみた。

だって、いろんなところに男の人が転がっているんだもの。

「都さん」

今日も、誰かと新しい出逢いがないかなーと思って、庭を彷徨っていたら、後ろから呼び止められた。

あら、わたしの大嫌いなお兄ちゃんじゃないですか。

「何?」

わたしは笑顔のオプションもつけずに、もっと言えば不機嫌な粉をまぶしたような顔で振り向いた。
お兄ちゃんは少し困った顔で、それでも柔らかくわたしに問う。

そうよね、どーせ、子供相手に怖い顔したって仕方が無いもんね。
分かってるって!

「……最近、うちの組のものと良くお話しているって言うのは本当ですか?」

「だって、暇なんだもん。
学校休みだし」

そう言おうって決めていたので、すらすらと口から出てきた。
夜、一人で寝るって暇じゃない?
だから何度も呟いて、練習していたの。

わたし、偉い!
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