だって好きなんだもん！（Melty Kiss バレンタインver.）

18.深夜の外出

◇大雅side◇

何か言いたげだった割には、ものすごい早さで寝付いてしまった都さんからそっと手を放す。
腕の中に抱きしめている身体は、まだ、熱っぽかった。

本当に風邪なんだろうか。
紫馬さんの誤診ってことは……ないだろうか。

胸の奥に、不安が過ぎる。

しかし、不安なのはそれだけではない。
彼女は明らかに俺のキスを拒否した。

一緒に寝なくなったことで、傷つけてしまったことが尾を引いているのだろうか？
だけど、あの関係を続けていたら、こっちの抑えが効かなくなってしまう。

きちんと説明してあげられなくて、申し訳ないとは思うけれど。
丸みを帯びてきた身体に理性が抑えられなくなりそうで――
なんて、こと口に出来るはずもない。


艶やかな都さんの黒髪を頬をそっと撫でながら、俺は一昨日の紫馬さんとの会話を思い出していた。

『誤解、このままにしておいていいんですか？』

必要事項の打ち合わせの後、いかにも今思いついた、見たいな口調で紫馬さんが切り出した。

『仕方ないでしょう？説明なんてできるはずもない』

『まあそうなんでしょうけど。
今まであった支えを失った彼女、まるで生まれたてのひよこですよ』

それが何を指しているのか分からずに、瞳を細める。